プリパレーションの考え方
チャイルドライフ・デザインの定義から,プリパレーションを以下のように捉えている.
チャイルドライフ・スペシャリスト紹介の本には,プリパレーションに看護師も病棟保育士も手を出すべきでなというニュアンスで書かれているが,チャイルドライフ・デザインの考え方はそうではない.
看護師がプリパレーションをやる意味・意義,病棟保育士(医療保育士)がプリパレーションをやる意味・意義はそれぞれにあると考えている.
例えば,注射など時には痛いことをする看護師であるからこそプリパレーションに関わる時の姿勢が,痛いことを全くしない人より真剣でそして深いところまで考えて実践できるかも知れない.
そこを看護師はもっと明らかにして言うべきだと感じている.
つまり,先ず,看護師が行うプリパレーションについて看護師側が明らかにしておくことが必要である.
一方,病棟保育士(医療保育士)が痛いことをしないから,対する患児の笑顔が違うことも何度も目のあたりにして知っているから保育士にしかできないプリパレーションも必ず存在すると考えている.
つまり,立場の違いによるプリパレーションに対する考え方をそれそれが明らかにすることによって,適したデザインが提供できると考えている.
次に,看護側が,他分野と共同研究[註1]しやすい体制を整えることが重要である.
看護師だけでなく,臨床心理士,あるいは教育学の専門家と研究を進めれば更に深く研究ができたと感じている人もいるであろう.
これはプリパレーションのツールはデザインの専門家とやればもっよくなるだろうというのと同じことである.
日本にあったプリパレーションは,看護師,病棟保育士(医療保育士),医師,スペシャリストがそれぞれの立場でプリパレーションを考えてシステム化することによって欧米よりもっときめ細やかな配慮と共に実践できるはずである.
本研究が,プリパレーション・システムと謳っているのは,最終的には,時と場所,そしてそれぞれの立場で行う意味・意義をシステムとして構築すべきと考えているからである.
最後に,10年以上にも渡っていろんな看護師・病棟保育士,医師と直接・間接的に関わってきたが,チャイルドライフ・スペシャリストの資格より,最後は人間性(=患児を思う心、その親の心中を深く察する心)につきる.
それなくしてプリパレーションはあり得ない.
[1] 共同研究を行いやすい体制を考えることは看護側の早急の課題である.共同研究者であっても学会長の許可がなければ一般でも入れない,あるいは,プレゼンテーションに今時スライドで枚数制限する,PowerPointで動画を禁止するなどは,如何に時間内に情報を効果的に伝えるかという根本的なところを再考するべき点である.先ずそうしたところから共同研究は始めやすくなるのである.
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