カタルシスと代償行動と遊び
カタルシスとは,代償行為によって得られる満足を指す.
例えば, 長い治療の苦しみや悲しみを言葉に出して露呈したり,絵にすることによって,それらを解放することである.
悲しい時に悲しい曲を聴くと癒されるというのも一例である.
遊びによるカタルシス(浄化)
遊びのデザイン(ツールのデザイン,システムのデザイン)に心理治療としてのカタルシス効果を持たせるべきである.
入院が長くなればなるほど,無意識のうちに抑圧されている過去の苦痛や恐怖を表出させることによって押しつぶされそうな子どもの心を解放し,心の緊張を解く必要がある.
それには,感情や葛藤が遊びという表現とともに表出しやすいデザインとそのシステムを考える必要がある.
代償行動としての遊び
フラストレーションとは,目的を妨げられているとき発生する欲求不満であり, 大人の場合,最も示しやすい反応は怒りである.しかし,怒りは社会的に抑制されるべきものとして認知しているのでフラストレーションを回避する代償を発見し,なんらかの代償行動が取れる.
取れなければストレスが発生するのである.
これが入院患児の場合,フラストレーションは,通常とは大きく異なった生活,しかも親と離されることと,痛みを伴う治療などに対しておこる.
しかし,回避すべき代償を発見することは不可能である.つまり,代償行動が取れないためにストレスが発生し,それが蓄積される.このことは決して治癒効果を上げることはない.
そこでそのフラストレーションを遊びという場で,遊びという形で,遊びというツールで代償行動を取ることのできるデザインを考える必要がある.
今なお,子どもは遊びに来ているのではないのだから遊びは不要という考えの看護師がいる.
その看護師を子ども時代に戻すことができて入院患児と同じ状況を体験させることができるような夢のツールがあれば,きっとその看護師は考えを改めるであろう.自分は遊びの意味をはき違えていたと.
preparationの3+1エリアが必要とするものに載せているベッドの柵に囲まれた状態でいる自分が想像できない人に想像せよと言ったとしてもそれは無理な話かもしれない.
どんなによいプリパレーション・ツールができても最後は,看護師・医師の人間性である.
だからこそ,その人間性を変えるためのツールが当然必要になってくる.
ChildLifeのチャイルドライフ・スペシャリストの仕事の最後のところに記している思想を伝えるためのツールのデザインもそういうことなのである.
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