:: 2006/02/22  12:23 ::

「入院患児のためのベッドの柵を利用したクッション」

小児ベッドの柵を利用したクッションのデザイン研究は,継続研究である.

2005年度卒業研究・制作,口頭発表内容,[2006年2月3日]
「入院患児のためのベッドの柵を利用したクッション」

拓殖大学工学部工業デザイン学科 感性デザイン研究室:大澤 光
指導教員:岡崎 章

2005年度卒業研究・制作のPowerPointの中で先行研究と述べているのは,2004年度卒業研究・制作,口頭発表内容,[2004年1月24日] を指している.

(PowerPointの内容は,画面をクリックするごとに次のページを見ることができます. PowerPoint左下に表示されるページに対応した発表内容が下記文章となります.はじめから見直したい場合は,右クリックで巻き戻し,再度右クリックで再生を選んで下さい.)

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----------P1
研究背景:子どもにとっての遊びは,発達の過程で欠かせないものです.しかし,入院患児はベッドでの生活が中心となるため,生活の経験が狭くなりがちです.そのため,自分で好きなことを選んで遊ぶことは,ほぼ制限されます.
また,ベッドは治療の場でもあるため,あまりおもちゃを置くことはできません.入院患児は白いベッドの柵の中で辛い治療に耐えながら日々生活しています.

----------P2
研究の目的
不足しがちな遊びの要素をと柵の保護の要素を明らかにし,小児科病棟で用いられる柵のついているベッドで使用する,クッションの研究・制作を行うことを目的としました.
対象年齢は2歳から4歳としました.

----------P3
研究方法
始めに予備調査を行い,それをもとに試作品を制作,検証,改良を行いました.
検証は北里大学病院にて3回行いました.

----------P4
予備調査
先行研究の評価から改良点を抽出し,柵の特定の場所にぶつかる子どもに便利だったことから,肢体支持ではなく柵の保護に重点を置くこと,沢山取り付けても柵の中の様子が分かるようにすること,遊びの要素を取り入れることにしました.
入院患児に不足しがちな遊びでは,ベッドからあまり出れないことから感覚運動的な機能遊びと,ベッドにブロックなどのおもちゃを広げられないことから構成遊びが不足しがちでした.
そのため,自分で動かして楽しむ要素,音や素材の違いを楽しむ要素,色を組み替えて見て楽しむ要素を取り入れることとしました.

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試作品1
形状は,沢山取り付けても柵の中の様子が見えるよう小さな楕円形にし,2個1組で柵を挟む仕組みにしました.
素材は,洗えることを前提として様々な素材を試し,外布には肌触りのよい起毛したポリエステル布,中綿にはポリエステル綿,接着部分にはマジックテープを使用することにしました.

----------P6
試作品2
試作品1の問題点として,クッション性が足りない,柵の中の様子が分かりにくいことが挙げられたので,大きさを約2倍にし,楕円形の中心に穴を開けました.
また入院患児はゲームボーイなどに夢中でコミュニケーションの不足を感じたので,クッションに付くキャラクターを制作し,看護師が治療をがんばった子どもに渡すなどして遊べるようにしました.

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試作品2の検証
北里大学病院の看護師らと検証を行い,もっとクッションの弾力がほしい,簡単に取り外せるものがよいなどの評価をいただきました.
その結果,弾力性のある素材にし取り付け方を変えることとしました.

----------P8
色彩の検討
幼児のおもちゃには原色などカラフルで彩度の高い色が多いですが,これは視力が発達段階でも識別しやすいためだと考えます.
しかし,一般に癒し効果がある色はパステルカラーなどの淡い色彩と言われています.
そこで本研究では,子どもにも見やすく,癒し効果も期待できると考えられる色として,ソフトトーンを基準としオリジナルの色を加えた7色を使用しました.

----------P9
試作品3
前回の検証結果より,素材には弾力に優れたウレタンを使用しました.仕組みもその弾力で隙間に挟むようにし,押すだけで取り外せる円錐型にしました.

----------P10
試作品4
弾力で挟むことにしたため,厚みのある形状になり乾きにくいことから,カバー式にし,中身は湿った布で拭くことができるエナメル布で成形しました.
円錐型は取り付けが不安定なことから,くびれた円柱型にしました.
また遊びの機能として,鈴や笛を入れて音も楽しめるようにしたり,表面の素材を変えて触覚の違いを楽しめるようにしました.

----------P11
試作品4の検証
実際に患児2人に使用してもらい検証を行いました.
クッションを的にして遊んだり,素材よりも色や音に興味を示していたことから,クッションに付くものや素材を統一して配色を変更しかわいらしくすることが必要だとわかりました.

----------P12
試作品4の改良
カバーの素材を「トイキルト」に統一し,配色を変えました.
「カラー・サプリ」と名づけ,7個セットで,マジックテープで付く人形,ハートや星型のモチーフ,ミニカタログを付けました.

----------P13
配色例の提案
ミニカタログには色彩の効果を元に,入院直後,手術前,手術後のクッションの配色例を提案しました.

----------P14
カラーサプリの検証
患児3人に使用してもらい検証しました.
マジックテープで人形やモチーフがクッションに付くのを面白がって遊んだり,柵をクッションに取り付けて音や配置を楽しむ光景が見られました.

----------P15
看護師らによるアンケートの実施
約2週間に渡り,使用した患児の様子を看護師らにアンケートで答えていただきました.
1歳から5歳までの患児10人に使用してもらい,看護師らからは,ベッドが明るくなったなどの意見をいただきました.
また子どもの様子を見るのに影響があるかとの質問には9割の方がないという回答を得ました.

----------P16
考察
先行研究から5回の改良を行い,遊びの要素を取り入れ,子どもの様子を見ることにも,ほぼ影響のないクッションを制作することができました.
またアンケート結果から,具体的ではないが,遊びや色彩が患児やその家族,看護師によい影響を与えたと考えます.
今後,残る問題点を改良し,作品は北里大学病院小児病棟3Aに提供する予定です.

2004年度卒業研究・制作,口頭発表内容,[2005年1月24日]
「ベッドの柵を利用した肢体支持具」

拓殖大学工学部工業デザイン学科:小暮彩乃
指導教員:岡崎 章


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