「小児腎生検における患児の保護者を対象とした説明支援用インタフェース・デザイン」
他の患児の家族による操作ログによって関連情報として提示されることにより,患児の家族が知りたい情報の周辺を効果的に得ることが可能となり,また,看護師側からの利点として,一連の説明事項やQ&Aの閲覧頻度から,今まで定量的に把握ができなかった患児の家族が腎生検に対して必要とする情報を把握できるツールの提案を行った.
第8回日本感性工学会大会[2006年9月13~15日 ,早稲田大学]
「小児腎生検における患児の保護者を対象とした説明支援用インタフェース・デザイン」
柴田高幸(拓殖大学大学院工学研究科), 岡崎 章(拓殖大学工学部工業デザイン学科),内藤茂幸(北里大学病院),吉川佳孝(自治医科大学附属病院看護部)
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小児看護において医療行為の説明を行うプリパレーションが必須となっています.しかし,その説明方法は言葉や手描きの図によるものが多く,各患児とその家族ごとに新たに手描き図描きなおしているという現状にあります.
また,一度の説明で全てを理解することは難しく,看護師側が全ての質問に対応することも困難です.
研究の背景
そこで,本研究では,他の患児の家族による操作ログによって関連情報として提示されることによって,患児の家族が知りたい情報の周辺を効果的に得ることを可能とします.
研究の目的
また,看護師の支援として,一連の説明事項やQ&Aの閲覧頻度から,今まで定量的に把握ができなかった患児の家族が腎生検に対して必要とする情報を把握することのできるツールの提案を行います.
この研究は,「チャイルドライフ・デザイン」の概念のもと平成17年度科学研究費補助金基盤研究(B)「入院患児に対するプリパレーション・システムの構築とその効果」の1つとして進めています.
本研究では看護師の支援として,小児腎生検における説明用コンテンツを製作・検証し,患児の保護者を対象とした小児腎生検用説明支援ツールとしての有効性を明らかにすることを目的としています.
そして,そのツールのインタフェース・デザインの特徴について紹介致します.
UIの概要 - コンテンツの抽出 -
コンテンツの抽出にあたり,北里大学病院小児病棟より患児の保護者用と医療者用クリティカルパスの提供を受けて,既存のコンテンツを把握するために再構成しました.左下の図が保護者用,右下の図が医療関係者用です.
UIの概要 - コンテンツの時系列化 -
抽出したコンテンツを時系列化し,提示することで従来の「どんな治療を施すのかが分かる」から「いつどんな治療が施されるのかが分かる」へと変えることで,患児の保護者に付きまとう自分の子どもの傍についていられない時間帯の不安やあせりを緩和し,精神的なゆとりをもたせます.
UIの概要 - 補足情報の表示 -
Q&Aや補足情報のリンク表示
過去に看護師が受けた保護者からの質問を腎生検の流れに関する説明にリンクさせる方式で閲覧することのできるコンテンツです.
これは,多くの患児の家族にインタフェースを使用しても操作ログから統計的にコンテンツ同士の関連性を強めていくことにより,自分が知りたい情報に近いが見落としてしまう情報も網羅することができ,腎生検のプリパレーション・ツールとしての効果を高めることができることを意図したためです.
UIの概要 - 情報のプリントアウト -
情報のプリントアウト
ユーザが手元に残しておきたい感じた項目を任意に選択してプリントアウトすることができます.
将来的には,携帯メールへ転送可能にすることも考えています.
UIの概要 - UIの構築1-
UI構築の基盤として,ISO 9241-11の定義をまとめたものです.
UIの概要 - UIの構築2-
同じく,UI構築の基盤として,ヤコブ・ニールセンの定義をまとめたものです.
UIの概要 - UIの構築3-
インタフェースの構築です.
ISO13407,ニールセンの定義を踏まえ,標的,要件,構造,骨格,表層の5段階からUCD(User-Centered Design)を考えたインタフェースを構築しました.
今後の展開
共同研究先である北里大学病院小児病棟の看護師側と患児の保護者側の2視点から操作ログ,アイマークカメラ,アンケートによるインタフェースの検証を行う予定です.
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