:: 2009/02/14  11:03 ::

「手作りツール制作支援の提案と具体例」

現在,小児科において多くの「手作り玩具」が使用されている.しかし,多くの手作り玩具洗練されているとは言いがたい.
そこで本研究ではツールのアイディア発想や制作方法などデザインが関与することで看護師・保育士・院内学級教員の手作りを支援するシステムの概念モデルを提案し,その具体的ツールを示した.

「手作りツール制作支援の提案と具体例」

拓殖大学工学部工業デザイン学科 感性デザイン研究室:高野洋一
指導教員:岡崎 章

PowerPointの内容は,画面をクリックするごとに次のページを見ることができます. PowerPoint右下に表示されるページに対応した発表内容が下記文章となります.はじめから見直したい場合は,右クリックで巻き戻し,再度右クリックで再生を選んで下さい.

看護師・病棟保育士・院内学級教員が容易に遊び道具を製作できるシステムと具体例の提案を行います.

背景

既存の遊び道具は,入院患児専用ではなく普通に販売されているものを利用したり,看護師らが患児に適した遊び道具を作っている現状があります.
こうした遊び道具を製作するときにデザイン側が適した情報を提供することでより良いモノになることが期待されます.

先行研究

感性デザイン研究室における先行研究ツールを分類しました.今後必要と思われる点を抽出し,本研究の具体的ツールを提案する指針としました.

研究目的

本研究の目的は,看護師・病棟保育士・院内学級教員が患児のためにツールを製作するときに効果的にしかも容易に利用できるシステムの提案とその具体例を示すことを目的とします.
具体例は,箱庭療法的ツールと触覚・聴覚を使った神経衰弱ゲームです.

この図は,概念モデルです.

患児のために製作したいと考えるツールが3つの軸に配置されていると考えてください.
具体的ツールが画像として提供されているのが,四角として見てください.
例えば,ブルーのところですと,製作したいツールに必要な情報が○で提供されているわけです.
このツールの目的は,恐怖軽減の効果があり,利用箇所はベッド.必要な道具は東急ハンズで1200円で提供されていて,作り方と遊び方の情報を得ることができるというわけです.
こうした情報をデザイン側が提供することと,現場からフィードバックされる情報によって成長するシステムによって効果的なツールの製作が可能になると考えています.

具体例のツール製作のために試行錯誤したのがこれらです.
最終的に2つを提示します.
一つは,この立体箱庭療法的ツールです.箱庭療法的と言っているのは,療法として使うのではなく,一つの世界をこの透明なボールの中で表現することを目的としているだけです.

ボールは大小2つで構成しています.グミのようなジェルシートを切ってもいいですし,星の形になって100円ショップなどで売られているものを利用します.
これらを構成して遊びます.

デザイン側が先のシステムで提供するのが,物語のコンテンツやキャラクタやアイコンです.
桃太郎のコンテンツに必要なキャラクタを提供することも考えられます.
注射器や聴診器などの医療道具もイラストで提供します.
すべてA4用紙で出力できる大きさで提供し,看護師らは必要に応じてダウンロードしてプリントアウトすることができます.

透明粘着シートなどが家電製品コンピュータ関連販売エリアで売られている情報なども提供します.
もちろん看護師らが自由に製作してもらうことに意義がありますからカスタマイズが可能にします.
こうして提供した情報を元に看護師らが患児らと作ったりすることが可能になります.

白いボードを丸く切り抜いただけのモノですが,上下に透明ボールをおくことで,地下の世界と地上の世界を表現して遊ぶこともできます.

アリの世界を作っても面白いでしょう.内側に既存の人形を入れたり,かぶって見てみるのも面白いでしょう.

外側だけを回すと朝-昼-夜という時間を表すこともできます.
物語を時系列に並べて何度も出てくる主人公をみるのも楽しいでしょう.

2つめのツールのうち,聴覚神経衰弱ゲームです.

ボールの中身は,9類のモノが入っています.握ったり振ったりすると音がするので同じ音のモノを合わせて遊びます.

こちらは握った触感だけで同じカタチのモノを当てるゲームです.

一見製作が難しいと思うかもしれませんが,市販のモノで簡単に製作できます.
アタッシュケースのようなモノに入れていますが,これもホームセンターや釣具屋で売っているモノを代用しています.
ここに示している製作マニュアルも先のシステムから閲覧ができるようにします.

今後の展開

コンテツは,すべて無料で配信します.
今後は,現場からのフィードバックを得ることのできるコミュニケーションスペースを含んだシステムの構築を予定しています.

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