「ペンタトニックスケールを用いた音楽療法支援ツールの開発」
ペンタトニックスケールを用いた音楽療法支援ツール"COCOROOTO"の無料提供について
2009年度卒業研究・制作,口頭発表内容,[2010年2月19日]
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これから発表を始めたいと思います。
よろしくお願い致します。
本研究は、ペンタトニックスケールを用いた音楽療法支援ツールの開発です。
研究背景と目的
音楽療法等は、音楽が持つ生理的・心理的・社会的働きを,心身の障害の回復,機能の維持改善,生活の質の向上を目指して意図的,計画的に活用しておこなわれる治療的,教育技法です。
その中でも、現在,現場で広くおこなわれているのが、即興音楽療法です。即興音楽療法とは,患者や音楽療法士が治療にあわせた音楽を即興で演奏するものです。自閉症の患者など、様々な症状の患者に使われており、治療効果の高い方法とされています。
しかしながら、患児との関係を取りながらの即興演奏は,専門家でも難しいと言われています.
そこで、容易に曲が生成できれば,つまり、即興演奏を簡単にすることができれば、音楽療法をおこなう両者の支援になると考えまして,即興音楽療法専用のツールの開発を行うこととしました.
即興音楽療法時において利用しやすいコンテンツを検討し、実際の現場で利用できるツールを制作することを目的と致しました。
研究手法
ツールを制作するにあたり,まずは、現状調査を致しました。
まず、音楽療法についての文献調査、 そして、実際に音楽療法が行われている現場の見学(東京都立光明特別支援学校国立成育医療センター内 そよ風分教室),の音楽の授業を見学専門家の方との意見交換を行いました。
次にワークショップ(日本女子大学 即興による音楽療法)に参加しまして,実際の即興音楽療法の事例や、実際のセッションの仕方を学びました。
これらの調査からコンテンツの検討、決定を行いました。
このツールの条件として、患児も操作でき,ベッド上にも持ち込め,消毒が必須,ということから,タッチパネルで操作可能なインタラクティブ・ツールを想定して,FLASHを用いて制作した.
次に、容易に曲を生成できるもの、ということで、ペンタトニックスケールを用いたツールを制作することに致しました。
ペンタトニックスケールとは、1オクターブに5つの音が含まれる音階のこと.スケール内の音を 鳴らせばそれなりの音楽を醸し出すことができる特性を持つ音階のことです。わらべ歌などにも使われ、即興音楽療法において、基礎的な音階になります。
さらに、これを土台として、必要なコンテンツを決定していきました。
必要なコンテンツはまず、音楽療法の導入をおこなうコンテンツです。
これは、患児が音楽の楽しさを感じることで、音楽療法にスムーズに入っていけるようにするものです。
なので、音遊びを基本としたコンテンツにすることにしました。
次に、音楽療法を実際におこなうコンテンツです。こちらは実際に即興の支援となるものを制作することにしました。
こちらがツールの画面構成です。
- メニュー画面[図1]から動きのあるアイコンをタッチすると音遊び画面[図2]に移動する.長期にわたる入院を余儀なくされている患児を想定して自然の音,日常の音をペンタトニックスケールの五音に加工し,タッチするとアイコンのアニメーションと共に音が鳴るようにした.この画面は,遊びをメインとした導入のためのコンテンツである.いつもは気づかない音から音楽を作る楽しさを感じることができます。
- メニュー画面の虹をタッチすると鍵盤画面[図3]となる.音楽療法のメイン画面であり,音階・音色などの選択ができる.音を録音・再生することができ,その音を使って専門家が即興することができます.
実験に先立ち、音療法の専門家に評価していただきました。
その後、ツールの修正をおこないました。
東京都立北特別支援学校東大こだま分教室の授業で実際に音楽療法の専門家にツールを使用してもらい評価してもらった また家族からの感想も得ました。
患児からはおもしろいといった意見をもらうことができました。
ベッドサイドでも、一人で遊べるという意見ももらうことができました。
音階を使用して、患児がランダムに演奏したものを専門家が即興で伴奏をつけたりと、即興音楽療法をおこなうことでできました。
- 鋭い音にならないよう修正.
- 鍵盤画面の色使いをカラフルにし明るい印象に変更.操作のタイミングを調整するためにプログラミングの修正をおこないました。
結論
結論です.
患児がランダムに操作した音がその直後に,音楽療法の専門家によって即興がなされることで患児が参加している感が維持でき,セッションはツールが無いときよりも容易であり,音楽療法支援としての効果があると判断できました。
重度の障害を持つ患児が容易に操作ができるように,アイコンの大きさを自由に変化させるなど,操作性を向上させたい.また,自然の音から容易に音階を追加できるようにしたいと考えている.
参考文献です。
ご清聴ありがとうございました。
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